題名から想像できる内容をベースに様々な社会問題を気づかせてくれます。
50代の夫婦と高校生の子供、離れて暮らす70代の親、これに近い家族関係なら身近に感じる話です。
読んだ後に「よかったなぁ」と感じられる本です。
目次
◆今の自分を見つめ直してみたくなります
車を運転できんのは不便なだけやない。なんや自由を奪われたような気がして息が詰まってしまう うちの父が運転をやめません
人に何かを強いる時、相手の気持ちを理解していないことが多いです。
相手もなかなか本心を伝えてくれません。
この本は、そんな口にしないような本心をポロリと伝えてくれます。
そして一つの事象にはいろいろな側面があることを再認識させてくれます。
物語は高齢者が加害者となる交通事故が増えているという、今、身近にある問題から始まります。
主人公は50代の夫。
その50代の夫婦に高校生の息子、70代の両親や義父母、更に同級生が登場してきます。
高校生の息子の心配、ドイツの道路事情、運転免許の自主返納から年齢制限と自分たちが抱えている悩みを次々と提示してくれます。
登場人物の正直な気持ちが伝わってきて、自分だったらどうするのだろうと考えながら読んでいました。
はじめのうちは世間でもよく言われていることが出てきます。
なので少し物足りない感じがするかもしれません。
でも、読み進めるうちに次の展開が楽しみになります。
その中で普段気付けないでいる社会問題に気付かされ、ハッとします。
高齢者の交通事故にまつわる色々な社会問題に一石を投じている小説だと思います。
こんな話題が出てきます。(気になる方はクリックしてください。あくまで私が気になったことです)
クリックすると開いたり閉じたりします
🌸 共働き夫婦の憂鬱
🗾 日本の道路事情
🚫 運転しないことによる生活難民
👪 過疎による社会の変化とコミュニケーションの減少
🌈 子供の時に夢見た将来とはいつか
📦 通販の悲哀
👜 買い物の楽しさ
🏢 田舎の両親を都会に呼び寄せる難しさ
🏥 認知症検査に思うこと
👴 介護する家族のもめごと
👫 高齢者を邪魔ものにしない社会の在り方
自分がやりたかったことってなんだろう?
自分がやりたかったことがやれていたのだろうか?
そんな風に自分を見つめ直してみたくなります。
それから、自分の親や社会に対しても何かしてあげられているのだろうか、と自問したくなります。
車の運転についていえば、
自分もいつか同じように車の運転をあきらめなければならない時が来ます。
その時まで、そうなってもいいような準備をどうするのか、良く考えないといけないなと思いました。
そして、自分の父(80代)も運転している現状をどうしようかということも切実な問題です。
受け入れてもらえるライフスタイルを提案できないと、頭ごなしに運転をやめさせることはできないと思います。
ただ、私の父は自分でもどこかで運転をやめなければと思ってくれてはいます。
それがどういうタイミングなのか。
一つだけお願いしています。
家の駐車場に車を止めるのにどこかにぶつけたら、もう運転しないようにと。
一応、了承してもらっています。
読み終わった素直な感想は、「いい本だった」というものです。
何でそう思うのか考えてみました。
多分、たくさんの人と人とのつながりが感じられて、それが微笑ましいものだからなのかなぁと思います。
イソップ寓話『北風と太陽』に通じるような小説なのだと思います。
私のつたない感想だけでは、作品に興味を持っていただけないかもしれません。
それでは申し訳ないので、出版社の紹介文も載せておきます。
お父さん、何歳まで運転するつもり? 「わしは死ぬまで運転する!」
「また高齢ドライバーの事故かよ」。猪狩雅志はテレビニュースに目を向けた。そして気づく。「78歳っていえば......」。雅志の父親も同じ歳になるのだ。「うちの親父に限って」とは思うものの、妻の歩美と話しているうちに不安になってきた。それもあって夏に息子の息吹と帰省したとき、父親に運転をやめるよう説得を試みるが、あえなも不首尾に。通販の利用や都会暮らしのトライアル、様々な提案をするがいずれも失敗。そのうち、雅志自身も自分の将来が気になり出して......。果たして父は運転をやめるのか、雅志の出した答えとは?心温まる家族小説! KADOKAWA
◆さいごに
もっぱら読書する本は図書館からの貸し出しで入手しています。
私の住んでいる町の図書館はネットで予約できます。
気になる本は自分のカートに入れておけば後から借りることができます。
この本は、どなたかのブログを読んでいて紹介されていたのをカートに登録しておいて、時期を見て借りました。